東南アジアのバックパッカー旅のルートを考えてみた
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Contents
はじめに
東南アジア、特に大陸側(インドシナ半島・マレー半島)におけるバックパッカーのルートは、バナナ・パンケーキ・トレイルという名がつくほど、多くの人が利用し、整備されています。この記事では、そんな東南アジアにおけるバックパッカー旅のルートについて考えてみました。
この記事で出てくる国は以下の7つです。ブルネイやインドネシアなど島国は含まれません。
- ベトナム
- カンボジア
- ラオス
- タイ
- ミャンマー
- マレーシア
- シンガポール
私自身の訪問歴は、ベトナム2回、カンボジア2回、ラオス1回、タイ2回、ミャンマー1回、マレーシア2回、シンガポール2回とそんなに多くはないですが、海外旅ブログまとめサイト(当サイト)を運営しているため、いろいろな方の旅路はチェックしています。この記事が東南アジアバックパックのルート検討の一助となれば幸いです。
ルートを考える前に
コースを考える上での事前情報を以下説明します。
治安と物価について
気になる治安についてですが、大陸側の東南アジアは極端に治安が悪い地域は少ない印象です。もちろん国によって、例えばカンボジアは肌感覚的に治安が悪い方、といった違いはありますが、個人でバックパッカー旅ができないほど治安・政情が悪い国は少ないです(ミャンマーは除く)。もちろん日本よりも治安が良いことはないので、用心するに越したことはありません。
物価は、基本的に南に行くほど高くなっていきます。日本より物価が安い国も多いですが、シンガポールまで南に下ると、日本よりも物価が高くなってきます。
東南アジアのコースを考える上で、どの国から言った方が良い、といったルールはあんまり無いのですが、どうしても不安という方は治安の良いシンガポールから順に徐々に旅慣れていくルートに設定すると良いのかなと思います。(これが、中東やコーカサスだと、国同士の関係によって入国すべき順番が必然的に決まってきます。)
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都市の取捨選択
ルート上のどの都市を訪れるかという取捨選択についてですが、シンプルに行きたいか、で選ぶのが楽しいと思います。例えば東南アジア最大の遺跡、アンコールワットに行きたいのであれば、シェムリアップを拠点に、訪れるとしてもその周辺のプノンペンやバンコクまでにしておいて、あとはバッサリ切るのも手です。紹介するルートは、あくまでそんなルートもあるんだ、ぐらいの気持ちで見てください。
東南アジアのコーヒー
これは完全に私の趣味です。同じインドシナ半島でも、「ベトナムコーヒー」「カンボジアコーヒー」「ラオスコーヒー」と地域ごとに異なる種類のコーヒーが存在します。いずれも占領国フランスが当時持ち込んだものですが、フィルターによる抽出の仕方などが違いとして現れ、今は異なる味のコーヒーになっているそうです。特にラオスの豆のメインはロブスタ種で、アラビカ種を使うベトナムやカンボジアとは豆種から異なっています。
東南アジアを旅する間に、ときおりカフェでゆっくりして、それぞれのコーヒーの違いを堪能するのも、東南アジアをバックパッカー旅する魅力の一つです。
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ルートの例
前置きが長くなりましたが、以下ルートの例を示します。バックパッカー旅なので、陸路移動を前提としてルートを組んでいますが、ところどころキツイ移動もあるので、適宜空路を織り交ぜると良いかもしれません。
東南アジア縦断ルート
インドシナ半島からマレー半島にかけて、ベトナムのハノイとシンガポールをつなぐルートです。地図中のマラッカを除いたこのルートが私の大学の卒業旅行だったのですが、何も決めずに航空券だけ取って、現地でルートを決めたことを覚えています。このルートをすべて行こうとすると、大体1か月ぐらい欲しいです。私は確か16日で縦断したのでかなりの強行軍でした。
地図中では割愛しましたが、バンコク – ペナン島間の間に、タイを代表するリゾート地のプーケット(ピピ島などが有名)があるので、経由しても良いかもしれません。
ハノイをスタートにするか、シンガポールをスタートにするかの二択がありますが、前述のとおりどちらでも良いです。どうしても不安な方は、シンガポールから旅慣れていくルートにするとよいかなと思います。私はハノイをスタートにしましたが、旅中に同じルートでシンガポールからダナンへ向かう旅人にも会いました。
ハノイ – ホーチミン間はベトナム国鉄が、バンコク – ペナン島間はタイ国鉄が、ペナン島 – シンガポール間はマレー鉄道が走っています。鉄道とバスを上手く組み合わせて旅をすると良いでしょう。寝台列車がある区間もありますが、全体的にディーゼルから電気化への流れに伴って廃止されていく方向性です。
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東南アジア周回ルート
マレー半島ではなく、ラオスに行くことを目的とした、東南アジア周回ルートです。スタート地点はハノイやホーチミン、バンコクあたりになるかなと思いますが、他にも空港を有している都市は多いです。このルートもすべて行こうとすると、大体1か月ぐらい欲しいです。
ハノイ – ホーチミン間はベトナム国鉄が、バンコク – チェンマイ間およびバンコク – ヴィエンチャン間はタイ国鉄が、ヴィエンチャン – ルアンパバーン間は中国ラオス鉄道が通っています。やはり、鉄道とバスを上手く組み合わせて旅をすると良いでしょう。
チェンマイをスキップしたハノイ – バンコク間を私も陸路で移動したことありますが、ネックはハノイ – ルアンパバーン間のバスです。所要時間は 30 時間ほどで、「死のバス」と呼ぶ人もいるようです。陸路にこだわらなければ、少し値段は上がりますが空路でも良いと思います。
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また、チェンマイ – ルアンパバーン間は、ラオスの首都ヴィエンチャンを経由する以外にも、メジャーなルートはあります。例えばチェンマイ – チェンコーン/ファイサーイ間はバスで移動し、チェンコーン/ファイサーイ – ルアンパバーン間はメコン川を2日間かけてスローボートで移動するルートなどです。ヴィエンチャン – ルアンパバーン間でも途中ヴァンヴィエンを挟む方も多いですし、チェンマイからパーイへ寄り道する方もいます。
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東南アジア満喫ルート
次に紹介するルートは、上記2つのルートを組み合わせて、あわよくばミャンマーまでも足を延ばしてしまおうというルートです。ミャンマーは現在政情が落ち着いていないので訪問はお勧めしませんが、魅力的な国だと思うので、落ち着いたら訪れてみてください。
基本的に上記2つのルートの組み合わせなので説明は割愛しますが、1点補足すると、ヤンゴン – バガン(ミャンマー)間の移動には鉄道もありますが、非常に古くて揺れもひどく、時間もかかるためバスでの移動をおすすめします。
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各ルートの見どころ
東南アジアには色々な見どころがありますが、個人的にこれははずせないかな、と思う街はハノイ(ハロン湾)、シェムリアップ(アンコールワット)、ルアンパバーン、バンコクです。その他の街も含めて、以下かいつまんで説明します。
東南アジア縦断ルート
ハノイ(ベトナム)から順に説明します。
- ハノイ(ベトナム):ベトナムの首都です。市内にもホーチミン廟やタンロン遺跡など見どころは多いのですが、ハノイを拠点とした観光で外せないのはハロン湾でしょう。大小 3000 もの奇岩、島々が点在し、その姿は日本でいう松島に似ています。ハノイからは約 160 km ほど離れていくので、現地ツアーを使うのがおすすめです。
他にも少し遠いですが棚田が有名なサパや、バイディン寺院/ムア洞窟で知られるチャンアンなども、ハノイを拠点として観光できます。
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- フエ/ダナン/ホイアン(ベトナム):ベトナム中部に位置するフエはかつてのグエン朝王宮などがあり、ベトナムで初めて世界遺産に登録されました。
ダナンはベトナムを代表するビーチリゾートです。市内にもダナン大聖堂など見どころがあり、郊外にある五行山はベトナム屈指のパワースポットとしても知られています。
ホイアンはランタンで有名なフォトスポットです。ダナンからのアクセスも比較的容易になっています。
- ホーチミン(ベトナム):ハノイがベトナムの政治の中心地だとすると、ホーチミンはベトナムの経済の中心地です。ハノイもそうですが市内はバイクの往来が激しく、油断していると轢かれそうになります。
郊外にはベトナム戦争のゲリラ戦の根拠地として作られたクチトンネル、メコンデルタ周辺を船に乗って楽しむメコンデルタクルーズ、カオスな遊園地として知られるスイティエン公園などがあります。
- プノンペン(カンボジア):カンボジアの首都です。市内には王宮やワット・プノン、マーケットなどがあるのですが、プノンペンといえばトゥールスレン虐殺博物館や郊外にあるキリングフィールドなど、ポルポト政権時代の負の歴史が知られています。
1970 年ごろのカンボジアは、国王を追放したロンノル将軍による腐敗政治などで荒廃していました。その後プノンペンを制圧したポルポト政権は当初国民から受け入れられたのですが、原始共産主義社会を目指し知識人を大量虐殺した過去があります。そんな負の歴史の傷跡がプノンペンには残っています。
- シェムリアップ(カンボジア):シェムリアップは東南アジア最大の遺跡、アンコールワット(アンコール遺跡)観光の拠点となる街です。アンコール遺跡の入場料はだんだん高くなっていますが、東南アジアを旅する上で一度は訪れたい遺跡です。
アンコール遺跡はインドネシアのボロブドゥール遺跡、ミャンマーのバガン遺跡と並び、世界三大仏教遺跡の一つに数えられます。少し距離は離れますが、ベンメリア遺跡やトレンサップ湖に足を延ばしてみるのも面白いでしょう。
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- バンコク(タイ):タイの首都です。東南アジア最大の都市となるため、この街を東南アジア旅行の拠点とする人も多く、長期旅行者の間ではバンコクで予防接種を行ってから他の地域に旅立つのがある種の通過儀礼になっています。
市内にはワットポーなどの有名な寺院や、バックパッカーの聖地カオサン通りなどがあり楽しめますし、バンコクを拠点として、アユタヤ遺跡やメークローン鉄道市場、ピンクガネーシャで有名なワットサマーンラッタナーラームなど訪れることができます。
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- ペナン島(マレーシア):ペナン島は、かつて東インド会社の支社がおかれ、交通の要所として栄えた島です。ジョージタウンには当時の建造物が多く残されており、2008 年にマラッカと共に世界遺産に登録されました。
ジョージタウンの街中にはあちこちにストリートアートがあったり、水上生活者村があったりするので、街歩きしていて楽しいです。島内にはビーチもあるので、数泊してゆっくり過ごしてみるのも良いかもしれません。
- クアラルンプール(マレーシア):マレーシアの首都です。街のシンボルはペトロナスツインタワーで、高層ビルが立ち並び、交通インフラも充実した近代都市となっています。大型ショッピングモールも数多くあり、そこで買い物を楽しむこともできます。
クアラルンプール郊外では、ピンクモスク(イスラム教)やバトゥ洞窟(ヒンドゥー教)などが有名です。マレーシアには、イスラム教をはじめ、仏教やキリスト教、ヒンドゥー教を信仰する人々が共存しています。
- マラッカ(マレーシア):マラッカはクアラルンプールの南に位置する港湾都市で、15世紀のマラッカ王国、16世紀のポルトガルとオランダによる支配があった時代の名残が残されています。西洋と東洋のエッセンスが共存する街です。
主要な観光スポットもオランダ広場、ポルトガルによって作られたファモサ要塞の跡地、仏教のチェンフーテン寺院など、街の多様性を反映しています。
- シンガポール:シンガポールは貿易・物流・金融の中心地を担う都市国家です。東京23区よりやや大きいぐらいの面積なので、ここでは都市名ではなく国名を記載しました(シンガポールの首都もシンガポールとされていますが)。
観光地としてはマーライオン、マリーナベイサンズ、セントーサ島などが有名ですが、バックパッカー旅というより、テーマパークを訪れる感覚に近いです。治安も良いため、海外旅行の入門に適していると思います。
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東南アジア周回ルート
前項で説明したハノイ – バンコク間は割愛し、チェンマイ – ルアンパバーン間の各都市について順に説明します。
- チェンマイ(タイ):チェンマイはバンコクに次ぐタイ第2の都市で、「北方のバラ」とも称されるタイ北部の街です。賛否両論ありますが、何千ものランタンを空にあげるコムローイという祭りでも有名です。
コムローイだけでなく、ワットプラタートドイステープをはじめとした寺院の数々や、温泉、ナイトマーケットなどでも知られています。スコータイ王朝やアユタヤ王朝とは異なる王朝、ランナー王朝によって統治されていた歴史が残る古都です。
- ヴィエンチャン(ラオス):ラオスの首都です。ラオス人からすると失礼極まりない話ですが、「世界一何もない首都」ともいわれています。バックパッカーの中には、ラオス国内の他の都市に中継するための都市として訪れる人も多い印象です。
ヴィエンチャン近郊で有名な場所はブッダパーク。1958年にタイの芸術家ブンリア・スリーラット氏によって作られたそうです。200体以上の仏像が所狭しと並んでおり、個性的な空間を作り上げています。
- ルアンパバーン(ラオス):ラオスの観光の中心を担う街です。街全体が世界遺産に登録されており、どこかのんびりとした空気が流れています。仏教都市としても知られ、朝に托鉢僧が練り歩く光景は有名で、日本の京都のような存在です。
ワットシエントーンなどの寺院や、プーシーの丘、クアンシーの滝などを訪れながら、ここではゆっくりと過ごすのが良いのかもしれません。内陸のリゾートのような雰囲気を持った街です。個人的には、ラオスを訪れる上ではずせない都市だと思います。
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その他、上記のルート説明で出てきた他の都市も簡単に説明しておきます。
- チェンライ(タイ):タイとラオスの国境近くにある街です。チェンライにあるワット・ロンクン(ホワイトテンプル)が写真映えすると話題になっていました。1997 年からできた、現代的で比較的歴史が浅い寺院だそうです。
- パーイ(タイ):チェンマイから約 130 km ほどの場所に位置する小さな街です。バックパッカーによって作られた街といわれており、パーイにのんびりと沈没(長期滞在)するバックパッカーも多いです。
- ヴァンヴィエン(ラオス):ヴィエンチャンとルアンパバーンの中間に位置する街です。ヴァンヴィエンでは、チュービングやタムチャン洞窟、ブルーラグーン、登山など自然を楽しむアクティビティが多いです。
東南アジア満喫ルート
上記で説明した都市は割愛し、ミャンマーの都市、ヤンゴンとバガンについて説明します。繰り返しますが、ミャンマーは現在政情が落ち着いていないので訪問はお勧めしません。魅力的な国だと思うので、落ち着いたら訪れてみてください。
- ヤンゴン(ミャンマー):ミャンマーのかつての首都です。2006 年に首都はネピドーに移りましたが、今もなおミャンマー最大の商業都市を担っています。
市内には、シュエダゴンパゴダやイェレーパゴダ(水上寺院)をはじめとした仏教建築物が数多くあります。マーケットを覗いたりするのも楽しいです。
ヤンゴンから距離がありますが、キンプンまで行くとミャンマーの代名詞、ゴールデンロックを訪れることができます。
- バガン(ミャンマー):バガンはミャンマー屈指の仏教聖地です。正確には都市ではなく、ニャウンウーという街を中心とした遺跡群の存在する地域を指します。バガンに存在する仏塔の数は、3000を超えるといわれています。
バガン遺跡はインドネシアのボロブドゥール遺跡、前述のカンボジアのアンコール遺跡と並び、世界三大仏教遺跡の一つに数えられます。数多く存在する仏塔を電動スクーターでまわるのも楽しいです。
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以上、東南アジアにおけるバックパッカー旅のルートに関する記事でした。皆様の旅程検討の一助になれば幸いです。
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