予防接種について
先進国への数日間の海外旅行だとあまり気にする必要は少ないですが、長期で新興国も含めた旅を考えているなら、予防接種を受けておくことをお勧めします。
ただし健康保険は適用されず、全額自己負担となるため、複数の予防接種を受けると、10万円ぐらいすぐにかかってしまいます。注射1本につき1万円ぐらい必要で、ワクチンによっては複数回打つ必要が有ります(例えば狂犬病の場合だと2~3回)。
生ワクチンだと、1ヵ月は間隔を空けないといけないものもあり、世界一周などの長期旅行を考える場合、予防接種を受ける期間は最低でも2ヵ月ほど見ておいた方が安全です。
以下、長期で海外旅行する上で、受ける人が多い予防接種を列挙します。私自身もすべて受けたことがあるわけでは無いですが、旅する地域によっては必須級(そもそも入国時に接種証明が必要な場合がある)のものもあると思います。厚生労働省からも、海外渡航時のワクチン接種の勧めがでています(参考)。
- 狂犬病
世界中どこでも感染する恐れがあり、発症すると致死率 100 % の病。基本的に二回以上に分けてワクチンを打つ必要がある。国内で承認済みのワクチンの有効期限は1年とされており、2~3年するとワクチンの効果は失われる。
- 破傷風
世界中の土壌の至る所に存在しており、傷口から感染する恐れがある。場合によっては死に至るケースもある。基本的には外傷をきっかけとした病なので、ケガをする可能性が高い場合は接種しておいた方が良い。ワクチンの有効期間は10年程度。
- A型肝炎/B型肝炎
アジア、アフリカ、南米など。A型肝炎は衛生状態の良くない食物から、B型肝炎は輸血等の経皮的接触から感染する。A型/B型の混合ワクチンもある。ワクチンの有効期間は10年程度。急性の場合比較的軽度の症状で済むが、慢性化すると重症化する。
- 麻疹(はしか)
アジア、アフリカ、ヨーロッパなど。感染力が強く、空気感染もする。主な症状は発熱、咳、鼻汁などだが、まれに肺炎や脳炎になることがある。MMR(風疹、おたふく風邪との混合ワクチン)もある。ワクチンの有効期間は20年程度。
- 日本脳炎
アジア、オーストラリア北部など。人から直接うつされるのではなく、豚の体内で増えたウイルスが蚊を介して感染する。発症する確率は低く、大多数は無症状で終わるものの、ひとたび発症すると致死率は3割程度。ワクチンの有効期間は5年程度。
- ポリオ
アジア、アフリカなど。汚染水を介した感染経路が多い。主な症状は 発熱、頭痛、咽頭痛、嘔吐 など。腸管に入ったウイルスが脊髄の一部に入り込み、主に手や足に麻痺が一生残る事もある。ワクチンの有効期間は10年程度。
- 黄熱病
アフリカ、南米など。蚊によって媒介される感染症で、重症化した場合の致死率は30~60%。流行地域に滞在した場合、国によっては、入国時に予防接種証明書(イエローカード)が要求される国もある。予防接種証明書自体は生涯有効。
- 髄膜炎
主にアフリカのサハラ砂漠の南側、髄膜炎ベルト帯と呼ばれる地域が流行の中心。特に髄膜炎菌に起因するものを髄膜炎菌性髄膜炎とよぶが、これによって髄膜炎を起こした場合、治療を行わないと致死率はほぼ100%に達する。ワクチンの有効期間は5年程度
これらを全て日本国内で受けようとすると、時間と費用が掛かるため、海外で予防接種をうける旅行者もいます。有名所はバンコクのスネークファーム(正確にはスネークファームの隣にある赤十字病院がそれ)で、私もそこで黄熱病の予防接種を受けたことがあります。受付から以降「まずは1番の部屋に行ってね」だとか、「3番と4番の用紙を記入してね」だとか、常に数字(英語)で分かりやすく指示された記憶が有ります。海外で病院のような施設に行く練習にもなるかもしれません(当サイトにもいくつか記事リンクが有ります)。
その他、予防接種からは話がそれますが、マラリアなども注意が必要な感染症です。アフリカ熱帯地域などに渡航する場合は、マラリア予防薬を持って行った方が良いかもしれません。
- マラリア
熱帯・亜熱帯地域に広く分布。蚊によって媒介される感染症で、全世界で年間1~3億人が感染しているとの報告がある。予防には防虫スプレー(ディート30%以上のものが良いらしい)などの他、感染しても発病しないための予防内服薬がある。
これも余談になりますが、長期旅行になると、初期には旅行者下痢症にはまず間違いなくかかるので、生理食塩水をつくるために、人によってはオーエスワンパウダーを持って行っておくと良いかもしれません。
新型コロナウイルスで、海外旅行時の感染症対策に対する注目も高まりましたが、旅人の中にも感染症によって旅中に命を落とした例もあるので、予防接種など可能な限り安全に旅する対策は行っておきたいですね。世界一周など、長期旅行には欠かせない準備の一つだと思います。
パントレ開発部