【ネパール/ポカラ】 ポカラの朝と不慮の事故
ポカラの朝
朝起きると久々に晴れていた。ネパールに来てからは曇り続きで、どこか不透明な日ばかりだった。もしや、と思ってゲストハウスの屋上に駆け上がると、フェア湖の遠くには小さくヒマラヤ山脈が見えた。


僕はサランコットの丘まで歩いていく事にした。そこには展望台があって、ポカラの市街地からでも歩いて 2 ~ 3 時間ほどで行くことができる。丘までのコースには等高線の緩い稜線沿いを選んだ。念のために水を 2 L 程と行動食を買い、撥水ウェアに着替えて登り始めた。


なんだか天気が変わりそうなので少し足早に登っていく。朝日を見てきたのか、午前中にも関わらず下山する人達ともすれ違った。道すがら時折見える菜の花と棚田などはとても綺麗だった。
暫くすると稜線までついた。街中からは約 500 m のアップで、再びヒマラヤが見える。マチャプレの厚く雪化粧した山肌は本当に美しく、心が震えた。

稜線から道はコンクリートになり、急な下り坂へと変わった。
突然、僕はそこで滑って転んでしまった。
転倒、そして病院へ
一瞬何が起こったのか分からなかった。コンクリートで顎を打ったのか、どうも眩暈がする。左腕は大きく擦っていて、恐らく持っていたカメラを咄嗟に庇おうとしたんだろう。
横になっていると、何事か、といった具合に、周りのネパール人が 10 人ほど集まってきた。その中の一人は僕に水を渡してくれ、もう一人は電話で車を呼んでくれた。やっぱりネパール人は本当に優しい。
10 分程で車が来た。来たのは何とパトカーで、中に乗るよう指示される。車内では写真を撮られたり、状況説明を求められたりした。「人騒がせなヤツだな。ハハハ…」なんだかネパール語でそう言われているようだった。

パトカーは近くの病院についた。お医者さんからは、「一人で旅行しているの?」「破傷風の予防接種は受けた?」「保険には入ってる?」等と質問を受けた。最後に「傷は浅いから、まずは落ち着いてね」と言われ、そのあと施術を受けた。
外傷で病院に来るなんて、恐らく十数年ぶりぐらいの事だった。最低限の装備をしていた上に、天候や足場は悪くなかった。施術台の上では「最近なんだか全てが上手く行かないな」なんて思いながら、多くのネパール人に迷惑を掛けた事に気を落とした。

施術は終わった。傷は浅いものの、大きく擦り傷のできた左腕は、包帯でぐるぐる巻きだ。「明日には包帯がとれるから」とは言われたものの、当面はゆっくりしようと思った。
とにかく保険と予防接種だけは受けていて良かった。
そして最後にお世話になったネパール人の皆様。恐らくこの部屋を訪れることは無いけれど、この場を借りてお礼申し上げます。