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【ネパール/カトマンズ】壮年の数学者との問答

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壮年の数学者との出会い

 ゲストハウスの同室には 40 半ば程の方が泊まっていた。話し始めたきっかけは確か「これは蛇を使った料理なんだけど、食べてみるかい?」と聞かれたことだったと思う。

 その方はサイエンティスト、特に数学を専門にしているそうなのだが、今はインドのデリーからずっと自転車旅を続けているらしい。

▲ 重たい自転車を押しながら街中を歩く

 ウクライナ出身で、インドなど色々な国に滞在した経験があり、このカトマンズには 3 年間住んだことがあると言っていた。

「僕も夕方まで時間が有るから、お昼を食べて、カトマンズの街中を案内するよ。」
 少し迷ったけれど、僕は折角の提案に応じることにした。

カトマンズの街中を歩く

 近くでネパール料理「モモ」を食べたのち、ダルバール広場やパタン旧王宮広場など、カトマンズの街中をひたすら歩いて回った。

▲ ネパール料理「モモ」。小籠包に似ている。

 いろいろ話していて、答えに窮した質問が二つあった。

 一つ目の質問は、「日本とは何か」ということ。芥川龍之介や大江健三郎など日本文学に興味があって、東京を訪ねたいと言っていた。「日本に行くつもりだから聞きたいんだけど」彼はつづけた「君は何をもって自分を日本人とするのかな?」

▲ ダルバール広場

 取り敢えず「言葉」と答えた。「それから?」と聞かれたので、『恥』の考え方だとか、婉曲表現だとかを、カタコトの英語で伝えようとした。すると「それは皆一緒だよ」と言われた。

 確かに、よく「インド人は嘘をつく」等と言うけれど、別に日本人でも保身の為の嘘をつくことは往々にしてあるし、僕も嘘をついた事が無いとは言えない。程度に差はあれど、「○○人は××」と言うとき、大抵それは○○人に限らないような気がする。

 少なくとも新型肺炎に対する反応は、ここ数週間見てきた限り何処も同じに思えた。

▲ カトマンズの路地裏

 二つ目の質問は「旅の目的は何か」ということ。 「インドに行くつもりなら色々と紹介してあげるんだけど、そもそもやりたい事は何なのかな?」

 僕の中にもやりたい事はある気がするけれど、取り敢えず時間を置きたくて、今は何となくネパールにいる。彼は「そんなに難しい事じゃないと思うんだ」と続けた。

▲ 夕方のカトマンズの帰宅ラッシュ

 二つの質問に対して、僕はいずれも「分からない」と答えた。
 夕方少しお茶をした後、感謝を告げて彼とは別れた。